有意味感

生活の充実感には有意味感が大きく関係していると思う。
有意味感とは物事を意味深く感じること、またその感覚を得る感性的な能力。
有意味感が高まっている時はあらゆる物事に意味があるように感じられる。
有意味感のない時はあらゆる物事に意味が感じられず、意味を求める行動や思考が増える。酷いと自殺も考える。

メスカリンを服用すると有意味感が高まる。哲学者オルダス・ハクスリーは『知覚の扉』でその体験を書いている。メスカリンは日本では麻薬指定されている。

『知覚の扉』から
http://www.eleutheria.com/vquest/compare/TheDoorsofPerception.html

私の眼にしていた花々も、私−いや「私」という名のノドを締め付けるような束縛から解放されていたこの時の「私でない私」−が見つめようとするものは、どれもこれも仏陀の悟りなのであった。たとえば書斎の壁を埋めている書物も、仏陀の悟りであった。私が見つめるとき、本は花瓶の花と同じように、やはり輝く色と深い意味深さに燃えるのだった。

あらゆる対象のあらゆる細部の一つ一つに大変な意味深さが感じられる。意味深さの前では空間や時間は関心の中心から外れる。

私の心はまず実在感の強さと意味の深さに関心が集中し、距離や位置がどうかという問題には、それほど心を向けなくなっていたということなのである。
空間に対する関心がなくなった中で、時間に対するそれ以上の完璧無比な無関心がやってきた。

これが深い意味での没頭する、味わうということだろう。ここで重要なのはメスカリンという薬物ではなく有意味感とは何かということである。

さりげなく置かれたインテリアの異様さ、なにげない発言の意味深さ、ありふれているはずの光景の特殊な感じに心を奪われたことはないだろうか?
不思議さ、神秘性、奇妙さ、奥深さにどんどん引き寄せられて、釘付けという言葉通り釘で心を打ち抜かれて目が離せなくなる。